2008年の夏に一橋大学河村ゼミOBを中心とする「芸術と社会」研究会を発足させました。河村ゼミは美術・文学・音楽等の芸術ジャンルの研究を主体とするゼミでありましたが、大学の伝統と性格から、卒業生は多くの分野に輩出し、実業界等で活躍しています。一方、芸術関係を専門として研究を続け、関連の職業(美術館学芸員、大学の芸術関係担当教員、芸術関係のマスコミなど)についているOBも増えてきました。そこで、狭い意味でのアカデミックな研究に限定せず、社会のさまざまな現場に関わっている諸氏も交えて、広い意味での社会の中の芸術について考えていく会を結成し、あわせて、「一橋大学に芸術あり」を世間にアピールしようというのが当初の狙いでした。研究会は2013年7月末現在、9回(研究会9回及び2012年11月報告会とディスカッション「震災後の芸術を考える」)を重ねました。
発足当初は河村ゼミ関係者に限っていましたが、その趣旨からいって当ゼミに限定せず、一橋大学にかかわっている諸氏や、大学と無関係に河村および当初の会員たちとなんらかの接点を持つ諸氏にも広く参加を呼びかけていくことが望ましい、ということになりました。以上の趣旨をご理解のうえ、社会のなかへ芸術の多彩な輪を広げていこうとするこの会に、振るってご参加いただきたいと思います。
一橋大学名誉教授 河村錠一郎